車を走り出す前には、しばらくエンジンを暖気するというのが広く知られていますが、本当に暖機運転は必要なのでしょうか?
そもそも暖機運転は、何のために行うものなのか、しっかりと理解する必要があります。
今回の記事では、暖機運転が必要か?不要か?について解説していきます。
暖機運転は必要か?
結論から言うと、昔の車のエンジン(キャブレター式の車)は暖機運転が必要ですが、今の車のエンジン(インジェクション式の車)は、ほとんど暖機運転が必要ありません。
そもそも暖機運転の主な目的は、車のエンジンを温めて、エンジンが正常に機能させることが目的です。
しかし、今の車は、電子制御されているので、エンジン始動後に急加速を抑えた運転で数百メートルほど走行すれば、十分に暖機運転ができます。
今の車は、昔の車のように水温計の針が動き出すまで暖機する必要がないのです。
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昔の車(キャブレター式)
昔の車には、燃焼噴射する方法の1つとしてキャブレターという装置が搭載されていました。
キャブレターは、燃料を霧状に噴射して空気と混ぜ合わせる役割がありますが、温度の変化によって吹き上がりが不安定になるため、エンジンを適温まで温める必要がありました。
キャブレターは、外気温が極端に低くなると、凍り付いてしまい霧状に噴射することが出来ずに、エンジン性能が落ちてしまう。
それとは逆に、温度が高過ぎると、圧力が高くなり過剰に噴射してしまうこともあります。
国産車では、2002年にキャブレター式の車は無くなり、電子制御式の燃料噴射装置を搭載したインジェクション車が主流になっています。
昔の車のキャブレターは、機械的に燃料を噴射していましたが、今の車のインジェクションは、コンピューターで制御されているので、エンジン効率が良く無駄な燃料を消費しにくいので、燃費も良いと言えます。
今の車(インジェクション式)
今の車は、エンジンの燃料噴射量や噴射時間などをコンピューターによってコントロールされています。
キャブレター式の昔の車のように、特に暖機運転を気にしなくても、普通に走り出すことができます。
これは、エンジンが温まっていない状態でも、燃料の噴射量を適切にコントロールして、正常なエンジン性能を発揮できているからです。
それでは、インジェクション式の車は、全く暖機運転が必要ないかと言えば、そうではない。
インジェクション式でも、エンジン性能が発揮できる適した温度があります。
ただし、エンジン始動から数百メートルほど走行する間に、エンジンは十分に温まり、適切な温度になるので、特に気にしなくても自然に暖機運転ができているわけです。
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オイルと金属部品の性能向上
今の車は暖機運転が必要ない理由は、キャブレター式からインジェクション式に変わっただけではありません。
エンジンオイルや金属部品の性能の向上も影響しています。
オイル性能の向上から、温度変化によって起こる粘度差の影響があまりなくなったことで、以前と比べてエンジン性能が安定しましまた。
エンジン始動してから1分も経たないうちに、オイルの循環は十分なほどです。
また、極端に冷えた金属は脆くなる性質がありますが、金属部品の性能が向上したことで、低温で強度を保つことができるようになっています。
以前は、極端な寒冷地でエンジンに負荷をかけると、金属部品の摩耗や歪みなどが問題でしたが、今は金属部品の材質や加工技術の向上により改善されています。
現在の車では、十分にエンジンが温まっていない状態からでも、エンジンに関係するオイルや部品の性能の向上により、問題なく走行することが可能になっています。
アイドリングでの暖機は燃料の無駄使い
寒い季節には、エンジンを温めて暖房を使いたい、窓にできた霜を溶かしたいという目的で暖機を行うこともあるでしょう。
しかし、エンジン性能のために、しばらくアイドリングを続けて暖機するのは、ガソリンを無駄に消費してしまうので、燃費にとって良いことではありません。
また、アイドリング時に排気ガスやCO2を排出しているので、環境にも良くないと言えます。
今の車は昔の車と比べて、それほど神経質に暖機をする必要がないため、走行前に解氷スプレーなどで窓の霜を取り除いて、走行中にエンジンが温まったら暖房を使うくらいで良いのです。
寒冷地の場合は、ある程度の暖機はやむを得ないことですが、それでもアイドリング状態での暖機は短い方が良いと言えます。
アイドリング状態での過剰な暖機は燃料の無駄使いになるので控えた方が良い。
アイドリングよりも走りながらの暖機の方が効率が良い
エンジンを温めても、トランスミッション(変速機)やデファレンシャル(車輪の動力伝達装置)は、車を走らせない限りオイルが循環しません。
アドリング状態でエンジンだけ温めても、車全体は温まらないのです。
エンジンに限らず、ミッションやデフなどの駆動系も性能を発揮するためには適度に温める必要があります。
車全体を温めるためには、走りながら暖機する方法が効率が良いと言えます。
車を走らせて水温計が安定したころには、駆動系などの各部の暖機も済んでいるはずです。
走り出しは急加速を抑える
今の車は、アイドリングでエンジンを温めずに、しばらくの間、普通に走れば自然にエンジンが温まり暖機運転が可能です。
アイドリングでエンジンを温まるよりも、走行中の方がエンジン回転数が高いため、車が温まるのが早いはずです。
ただし、エンジンを始動した直後に急加速して全開運転することはエンジンに負担をかけるので良くありません。
制限速度を守って普通に街中を走行する感じで、数百メートル走れば十分な暖機効果が得られます。
つまり、暖機運転といっても今の車は特別なことは必要なく、通常の走行を行うだけで十分なのです。
走り出しの数百メートルに無理な急加速を抑えた運転を心掛けることが、効果的な暖機運転になります。
自動車の燃費(km/ℓ)は、使用する燃料1ℓあたりで走行できる距離を表したものです。たとえば、1ℓの燃料で10km走ることができれば、燃費は10km/ℓになり、この数値が高いほど燃費が良いことになります。
燃費の悪化は、車の使用状況が反映することが多いですが、なかにはエンジンやブレーキなどの故障が原因になっている場合もあるので注意が必要です…
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