自動車のマフラー音がいつもよりうるさいと感じた場合、様々な原因が考えられますが、なかにはマフラーが故障している可能性も考えられます。
配管の破損により、排気のたびに内部で部品がぶつかり合う「カタカタ」「カラカラ」といった振動音が発生していることも考えられます。
故障以外では、マフラー内部に水が溜まることで「ボコボコ」「ポコポコ」といった異音が発生している可能性も考えられます。
今回の記事では、車のマフラー音がうるさいと感じる時の原因について紹介します。
マフラーの働き
マフラーとは、エンジンで発生した排気ガスを放出するための排気管の一部ことを言います。
一般的にメインマフラーと呼ばれる部分は、車の後ろに少し突き出た配管部分を指しますが、その配管は車の下を通ってエンジンまで繋がっています。
配管の途中には、O2センサーや高温センサー、触媒(キャタライザー)、エキゾーストシステムなど、排気に必要な部品が組み込まれています。
マフラーの主な役割は、「排気音の低減」と「排気ガスの抑制」です。
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排気音の低減
エンジンの燃焼室で発生した爆発音を抑えるためには、排気ガスの温度と圧力を低下させる必要があります。
音は空気の振動で生まれているので、圧力を小さくすれば音も小さくなります。
また、燃焼室で発生した排気ガスは800℃以上の高温なので、そのまま20℃ほどの外気にマフラーから放出すると、急激に膨張して音がうるさいので、長い配管や様々な部品を通過させることで、徐々に温度を下げていく必要があります。
そして、排気音の低減させるために最も重要な部品が、車の後ろにあるメインマフラーです。
メインマフラーの内部は、排気音を小さくするために様々な工夫がされています。
自動車メーカーによって内部構造は異なりますが、マフラーの内部を複雑に仕切ることで音の圧力を低下させる隔壁タイプや、二重構造の配管の内部に複数の穴があり、排気ガスを分散させることで音量を下げる仕組みのストレートタイプなどがあります。
排気ガスの抑制
エンジンで発生した排気ガスには、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)などの有害なガスが含まれています。
そのため、触媒(キャタライザー)という装置で、これらの有害ガスを無害な二酸化炭素(CO2)と水(H2O)、窒素(N2)変換してから排出します。
エンジンの燃焼状態が良いと、この変換作業が活発になるので、水が形成されやすくなります。
マフラーから出る水や水蒸気は、内部で起こる化学反応によってできたものなので、故障が原因ではありません。
エンジンで燃焼させる燃料と空気の割合を正確に調整していないと不完全燃焼が起こり、触媒で変換しきれなかった有害成分をそのまま放出してしまう恐れがあります。
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車のマフラー音がうるさい原因
自動車のマフラーから発生する「カラカラ」「カタカタ」という振動音や、マフラー内部から聞こえる「ボコボコ」「ポコポコ」という異音の原因について紹介します。
「カラカラ」「カタカタ」振動音
マフラーの溶接部分の外れ
メインマフラーは車の後ろにありますが、マフラーの配管はエンジンまで繋がっていて、いくつかの溶接部分があります。
長年の使用で配管に錆が発生すると、溶接部分の腐食により配管が外れてしまうことがあります。
マフラーが十分に固定されていないことが原因で、「カラカラ」「カタカタ」といった振動音が発生することがあります。
エンジンから伸びる配管の最後尾に消音効果のあるメインマフラーが配置されているので、その前で切断されてしまうと十分に消音効果が得られずに排気音がうるさいと感じる場合もあります。
そればかりか、触媒より前で配管が外れている場合は有害ガスを放出してしまう恐れもあります。
マフラーの溶接部分の外れて配管がぐらついていると、走行中の振動で配管と車体がぶつかり合って「カタカタ」と異音が発生することもあります。
このような故障の場合は、外れた配管を溶接修理することもできますが、長期にわたって配管が外れていた場合は内部に錆が広がっているケースが多いので、新しいマフラーに交換することが多い。
マフラー内部部品の破損
メインマフラーの内部構造は、排気音を小さくするために、いくつかに仕切られていたり、二重構造になっていたりと、各メーカーによって様々な工夫が施されています。
このように内分に使われている部品が、劣化などで破損すると、排気ガスが通るたびに内側の壁にぶつかって「カラカラ」「カタカタ」といった異音が発生するようになります。
内部が故障したメインマフラーでは、排気音を低減させる効果を十分に発揮できずに、マフラーからの音がうるさいと感じる原因になります。
そのまま放置すると、排気のたびに内部で部品がぶつかり合って、広範囲に破損する恐れがあるので、できるだけ早く整備工場などで点検を受けるようにしましょう。
マフラーの変形
縁石などにマフラーをぶつけてしまうと、マフラーが変形して配管とボディの距離が近いところができてしまいます。
すると、排気や走行中の振動で、マフラーの配管と車体がぶつかり合って、「カタカタ」「ガタガタ」といった異音が発生する原因になります。
配管と車体がぶつかり合うことが原因で、さらなる故障を招く恐れがあるので、早めに修理が必要です。
また、配管の衝突でできた傷に雨水や融雪剤が付着すると、錆が発生し腐食する恐れがあるので、車の下回りの洗浄と錆防止剤による対応が必要です。
触媒内部の劣化
触媒の内部は、ステンレスやセラミックでできた蜂の巣のような構造になっており、その部品の表面にロジウムやプラチナなどが付いています。
この中をCO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)などの有害な排気ガスが通ると、NOxのN(窒素)とO(酸素)が切り離されて、化学反応を起こし無害化します。
切り離されたOがCO(一酸化炭素)と結び付いてCO2(二酸化炭素)になります。
切り離されたOがHC(炭化水素)と結び付いてH2O(水)になります。
このように触媒内部では、常に化学反応が繰り返されているので、長年の使用により部品が劣化すると、内部破損が起こり、排気ガスが通過するたびに「カラカラ」「カタカタ」といった異音が発生することがあります。
触媒が故障すると排気ガスを無害化する機能が弱ってしまうので、車検に通らないこともあります。
早めに整備工場などで点検を行い、修理が必要な場合は新しいマフラーと交換になります。
「ボコボコ」「ポコポコ」異音の原因
マフラーから「ボコボコ」「ポコポコ」といった異音がうるさい原因は、マフラー内部に水が溜まっている可能性が考えられます。
水が溜まっている配管の中を排気ガスが通り抜けているために、「ボコボコ」「ポコポコ」といった水が泡立つような音が発生します。
すでに述べていますが、マフラーから出る水は、有害ガスを無害化する際にできたものなので、水が発生すること自体は問題ありません。
また、水が多く出る状態も、正常に化学反応している証拠なので、むしろエンジンの調子が良いとも言えます。
ただし、マフラー内部に水が溜まった状態が続く場合は、錆が発生して腐食する原因になるので、良いことではありません。
マフラー内部に水が溜まる原因は、普段から短時間の近距離走行が多いことで、マフラーが十分に温まる前に停車していることが考えられます。
エンジン回転数を上げて、車をある程度の速度で走行すれば、内部に溜まった水は排気の勢いで少しは外に出ます。
しかし、全部の水は排出できないので、温まったマフラーで残りの水を乾燥させる必要があります。
普段から短時間の近距離走行を繰り返している場合は、マフラーが温まらずに乾燥作業ができないので、内部に水が溜まってしまうのです。
車のマフラーから出る「水蒸気」「水」「白煙」の3つのうち、水蒸気と水は問題ありませんが、白煙が出た場合は何らかの故障が原因になっている可能性があります。
また、マフラーから「カラカラ」「バラバラ」といった内部にこもったような異音が発生する場合は、マフラーの故障が疑われます…
トヨタ200系ハイエース専用マフラーカッター
車のマフラーから「カタカタ」「カラカラ」振動音、内部から「ボコボコ」「ポコポコ」異音がうるさい原因については、今回の記事で紹介した内容以外にも様々なことが考えられます。
マフラーから異音が発生した場合は、早めに整備工場などで点検・修理を行うようにしましょう。
車の修理の値段は、整備工場によって大きく違うことがあります。
いつも利用している整備工場が、実は高い値段で修理していたというケースも少なくありません。
そのため、複数の整備工場を比較検討することをお勧めします。
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